行列
はじめに
行列は代数における基本的な概念であり、数値を長方形の配列やグリッド形式で整理して操作するのに役立ちます。特に方程式の解法、変換の実行、データの表現に重宝されます。行列の学習により、単純で優雅な体系的な計算と変換が可能になり、数学の探求の世界が開かれます。
行列とは何か
行列は一定の行と列の数に並べられた数値の集合です。行列中の各数値を要素と呼びます。行列のサイズはその行と列の数によって定義されます。通常、行列はA
、B
、C
などの大文字で表します。
例:
A = | 1 2 3 | | 4 5 6 | | 7 8 9 |
上記の行列A
では、3行3列があるので、3x3(スリー・バイ・スリー)行列と呼びます。要素は垂直バー| | または時にはブラケット[ ]内に配置されます。
行列の要素
行列中の各要素はその位置によって識別され、通常a ij
と表記されます。ここで、i
が行を示し、j
が列を示します。上記の行列A
の場合、a 12
は1行目2列目にあるので2です。
行列の種類
正方行列
正方行列は行と列の数が同じです。例えば、2x2や3x3行列は正方行列です。
行行列
行行列は1行のみ持ちます。例として[1 2 3]
は1x3行列(1行3列)です。
列行列
列行列は1列のみ持ちます。以下は例です:
| 5 | | 6 | | 7 |
これは3x1行列(3行1列)です。
ゼロ行列
ゼロ行列または零行列とは全ての要素が0である行列です。例えば:
| 0 0 | | 0 0 |
行列の操作
行列の加算
2つの行列が同じサイズであれば加えることができます。加えるには、それぞれ対応する要素を単に足すだけです。
A = | 1 2 | | 3 4 | B = | 5 6 | | 7 8 | a + b = | 1+5 2+6 | = | 6 8 | | 3+7 4+8 | = | 10 12 |
行列の減算
行列の加算と同様に、同じサイズの行列の対応する要素を引くことで減算できます。
a - b = | 1-5 2-6 | = | -4 -4 | | 3-7 4-8 | = | -4 -4 |
スカラー倍
スカラー倍では、行列の各要素を同じスカラー(一定数)で掛けます。
3 * A = | 3*1 3*2 | = | 3 6 | | 3*3 3*4 | = | 9 12 |
行列の積
行列の積は少し難しいかもしれません。1つ目の行列の列の数が2つ目の行列の行の数と等しい場合にのみ行列を掛けることができます。行列A
とB
の掛け方は以下の通りです。
A = | 1 2 | | 3 4 | B = | 5 6 | | 7 8 | AB = | (1*5 + 2*7) (1*6 + 2*8) | = | 19 22 | | (3*5 + 4*7) (3*6 + 4*8) | = | 43 50 |
加算と減算と異なり、行列の積は可換ではありません。AB
は必ずしもBA
と同じではありません。
単位行列
単位行列は、メイン対角線上のすべての要素が1で、他のすべての要素が0である特別な種類の正方行列です。例えば、2x2の単位行列は次のようになります。
I = | 1 0 | | 0 1 |
行列の逆行列
行列A
の逆行列は、A -1
と表記され、この行列とA
を掛けると単位行列が得られます。すべての行列が逆行列を持つわけではありません。正方行列のみが逆行列を持ち得、行列の行列式が0でない場合にのみ逆行列があります。
行列式
行列式は正方行列から計算できる特別な数値です。行列式は、行列が逆行列を持ち得るかどうかなど、行列の重要な性質を提供します。2x2行列の行列式を以下の式で求めることができます。
A = | A B | | C D | 行列式 (A) = ad – bc
行列式が0の場合、その行列は逆行列を持ちません。
行列の転置
行列の転置は、元の行列の行と列を入れ替えた行列です。元の行列がA
の場合、その転置はA T
と表記されます。
A = | 1 2 3 | | 4 5 6 | A T = | 1 4 | | 2 5 | | 3 6 |
行列の応用
行列はコンピューターグラフィックス、工学、物理学、統計学など多くの分野で使用されます。例えば、コンピューターグラフィックスでは、行列で形状や画像を表し変換します。物理学では、複雑な変換や回転を表現します。統計学では、データを効率的に整理し処理します。
結論
行列とその操作の理解は代数において重要であり、様々な現実の問題に利用できます。行列操作を習得することで、複雑な方程式系を解き、効率的に計算を実行し、より高度な数学概念を理解することができます。